導入ソリューション
スコープ3.1の測定
FLAGの測定
SBTi認定のアップデート
会社規模
従業員3,000名超
グループ会社数は43社(うち海外拠点は29社)
カゴメについて
カゴメ株式会社は、トマトや野菜の加工食品を製造・販売する大手食品加工メーカーです。主力事業はトマトケチャップ、トマトジュース、野菜ジュースなどの加工食品で、国内市場において高いシェアを誇ります。また、北米、欧州、オーストラリア、アジアにおいて、トマトペーストやピザソースなどを主力製品とする業務用事業を展開しています。
同社は「食を通じて社会課題を解決し、持続的に成長できる強い企業」というありたい姿を掲げています。農業から生産・加工・販売までを自社で一貫して担う、国内外でも数少ない企業の一つとして、健康寿命の延伸、農業振興・地方創生、さらには持続可能な地球環境の実現に向けた取り組みを推進しています。
2022年にはSBT(Science Based Targets)認定を取得、2024年の「CDP 気候変動」において最高評価のAリスト企業に選定されています。
課題
- 既存の排出係数データと管理の限界
カゴメは、これまでスコープ3(特にカテゴリー1「購入した製品およびサービス」)の排出量測定において、国内データベース(環境省・IDEAなど)の大まかな排出係数に依存していました。これらは「加工食品」「調味料」といった包括的なカテゴリしかなく、トマトペーストや濃縮果汁といった製品特性を反映した品目別データが不足していました。
一方で、カゴメはサプライヤーと協力し、サプライヤーが独自のデータをもとに算出した「カスタム排出係数」を積極的に収集・活用しています。これらは二次データの平均値よりも正確性が高く、カゴメとサプライヤー双方の努力によって構築されたものです。
さらに、約1,000種類におよぶカスタム排出係数を扱う必要があり、手作業や非対応ツールによる管理には精度・効率の両面で限界がありました。
- SBTi FLAGへの対応力への課題
2023年以降、森林・土地利用・農業(FLAG)セクターの企業にはSBTi FLAGガイダンスへの対応が義務化され、カゴメはSBT認定アップデートのためにFLAG測定が不可欠となりました。しかし、社内にはFLAG測定に関する知見や体制が十分ではなく、削減目標の設定や排出量の測定・報告の進め方が不明確な状況でした。
Terrascopeのソリューション
01.スコープ3.1(購入した製品およびサービス)の高精度な測定
課題であった国内の排出係数データベースの限界を解消するため、Terrascopeはグローバルデータベースを活用しました。たとえば、露地栽培のトマトに対して、元来用いていた国内の排出係数からグローバルの排出係数に変更したところ、より実態に即した値となり、従来比で79%低い排出量が算定されました。このように、品目ごとの詳細な排出係数を用いることで、スコープ3カテゴリー1のGHG排出量をより精緻に把握できるようになりました。
また、約1,000種類のカスタム排出係数を自動でインポート・管理できるプラットフォームを提供し、手作業負荷と精度の課題を同時に解消しました。
02. 独自ロジックを活用した効率的なFLAG測定
Terrascopeは、FLAGセクターにおける排出量測定の豊富な知見と経験を活かし、カゴメのFLAG測定を成功に導きました。
特に、サステナビリティや炭素会計の深い専門知識と、大規模なデータ処理能力を組み合わせることで生まれた独自ロジックの活用により、既存の排出係数を変更せずFLAG要素に分解することで、既存データを再活用した効率的かつ精緻なFLAG排出量算定を実現しました。
土地利用変化(LUC)や化学肥料など複雑な要因にも対応し、スコープ1〜3全体のうちのFLAG排出量が31.34%を占める結果となりました。
03. SBTi認定アップデート支援
SBTi認定のアップデートに関して、Terrascopeは申請資料作成や質疑対応を含む全プロセスを伴走。Terrascopeは、グローバルでの豊富な顧客支援経験とサステナビリティ分野の専門家ネットワークを活用し、日々変化するSBTiの審査傾向を把握、即時に対応し、カゴメのSBTi認定アップデートをスムーズかつ確実にサポートしました。
カゴメにもたらされた価値
カゴメはTerrascopeとの連携により、以下の価値を実現しました。
食品バリューチェーン全体での主要排出ホットスポットの可視化
スコープ3.1(購入した製品およびサービス)の測定精度向上により、食品バリューチェーンにおける排出構造を明確化。削減策の優先順位付けを定量的に行える基盤を整備しました。
FLAGを含むSBT認定アップデート
SBTi FLAGガイダンスに基づく削減目標を設定し、SBT認定アップデートを実現。これにより、農業由来の排出を含めた脱炭素計画を国際基準で説明可能にしました。
グローバル基準での競争力強化
SBTi FLAGやCDPといった国際的な要件に対応したことで、食品バリューチェーン全体の透明性と信頼性が向上。海外展開を進める食品メーカーとして、サステナビリティ・リーダーシップをさらに強化しました。