顧客事例

TSEグループ:パーム油のGHG排出量算定を「見える化」― 透明性の高い算定基盤を構築

作成者: Terrascope Team|2026/09/16 0:45:47

 

導入ソリューション

企業カーボンフットプリント(CCF)

業界

パーム油
総合農業企業(農園からCPO工場まで一貫操業)

所在地

インドネシア、ジャカルタ

会社規模

5子会社・8農園
植栽面積 約6万ha

主な成果
  • 算定方法をTSE自身で管理。すべての排出係数、データソース、算定プロセスをTSEの担当者が追跡でき、監査にも対応できる仕組みを構築。 

  • 複雑な農業由来排出量を含む、必要なScopeカテゴリーを算定。POME、肥料の施用、土地利用変化など、複雑な農業由来排出量も含めて算定。 

  • FLAG排出量を明確に区分して算定。FLAG排出量と非FLAG排出量を明確に分け、SBTiおよびLSR基準に沿った算定を実施。

  • 5つの事業部門別に排出量を可視化。事業部門ごとの排出量を比較し、排出量の大きい事業活動を特定できるように。 

  • SBTi・LSR対応を専門家が支援。複雑な土地セクターの算定要件への対応から、SBTi事務局との技術的な協議に向けた準備まで、専門家が伴走支援。 

TSEグループについて

 TSEグループはインドネシアを代表するパーム油企業の一つであり、農園から加工に至るバリューチェーン全体で事業を展開しています。5つの事業部門はパプア州および北マルク州で運営されています。TSEは、SBTiから認定された短期目標およびネットゼロ目標を掲げるとともに、森林破壊ゼロ方針を公表し、森林・土地・農業(FLAG)セクターを脱炭素戦略に組み込んでいます。 

課題

SBTi認定目標の策定を終えたTSEは、次の優先課題として、監査機関やSBTi事務局に対して毎年、算定根拠を説明できる信頼性の高いGHG排出量インベントリの構築に取り組みました。 

基準年のGHG排出量インベントリは、従来のコンサルタント主導のプロセスで作成され、当初の目標設定には十分なものでした。しかし、SBTi目標の進捗を継続的に管理するうえで必要となる、算定の透明性や再現性までは想定されていませんでした。 

パーム油の複雑性 

パーム油由来の排出量算定は複雑であり、この課題をさらに難しくしていました。TSEのGHG排出量インベントリでは、土地利用変化、パーム油工場排水(POME)、肥料の施用、農場廃棄物などを含むFLAG排出量の算定が必要でした。これらは、GHG排出量算定の中でも特に専門性が求められる領域です。 従来の算定では、これらの項目がどのように扱われていたのかを十分に把握できなかったため、年度ごとの比較や継続的で信頼性の高い報告を可能にする、より体系化されたデジタル基盤が必要となっていました。 

支援の目的

TSEが求めていたのは、次の3つを実現できるパートナーでした。 

  1. 従来の手作業による算定方法をデジタル化・改善し、長期的な一貫性を確保すること

  2.  バリューチェーン全体を対象に、透明性の高い2023年度のGHG排出量インベントリを構築すること

  3.  今後TSE自身がデータを管理・活用できるよう、必要なツールと専門知識を提供すること

Terrascopeのソリューション

Terrascopeは、TSEの2023年度におけるバリューチェーン全体のGHG排出量算定を支援しました。土地セクターに関する専門知識とTerrascopeのプラットフォームを組み合わせ、サステナビリティチームによるコンサルティング支援と、データ収集・算定・報告の仕組み化を一体的に提供しました。 

バリューチェーン全体の排出量算定。Terrascopeは、TSEの5つの事業部門すべてを対象に、Scope 1・2・3のGHG排出量を算定しました。報告対象となる排出量の大部分をScope 1が占めており、主な排出源は土地利用変化とプロセス由来の排出でした。Scope 3では12のカテゴリーを対象とし、購入した製品・サービス、販売した製品の加工、下流の輸送が主な排出源となりました。一方、購入電力によるScope 2排出量はごくわずかでした。 

FLAG排出量を詳細に区分。Terrascopeは、SBTiガイダンスおよびGHGプロトコルの「土地セクターおよび炭素除去(LSR)基準」に沿って、FLAG排出量と非FLAG排出量を明確に区分して算定しました。 これによりTSEは、土地由来排出量の具体的な排出源とその要因を把握できるようになりました。FLAG排出量では、土地利用変化、パーム油工場排水(POME)、農業投入物を、エネルギー・産業由来の排出量と分けて算定しています。 

農場レベルのデータを大規模に収集。Terrascopeは、肥料の施用、排水処理(POME)、農場廃棄物、土地利用変化に対応した専用のデータ収集テンプレートを構築しました。インドネシア語のデータにも対応し、複数の農園やパーム油工場から収集される大量のデータを効率的に処理しました。 また、テンプレートには自動検証機能を組み込むことで、手作業によるミスを削減。今後も継続して同じ方法で算定できるデータ収集基盤を整備しました。 

 SBTi・LSR対応を専門家が支援。Terrascopeのサステナビリティチームは、GHG排出量の算定にとどまらず、変化するSBTi要件を踏まえ、TSEが土地セクター由来の排出量算定をどのように進めるべきかについても支援しました。 生物由来排出量の取り扱いや、複雑なカテゴリーにおける算定方法の選定に加え、SBTi事務局との技術的な協議に向けた準備もサポート。TSEからは、プラットフォームと同様に、こうした専門家による支援も高く評価されました。 

 


成果

コンサルタントが作成する報告書から、自社で継続的に管理できるプラットフォーム上のGHG排出量インベントリへ移行したことで、TSEのサステナビリティチームによるデータ活用の幅が広がりました。 

限られた可視性から、透明性の高い算定へ。Terrascopeのプラットフォームでは、すべての排出係数、データソース、算定プロセスを追跡できます。TSEの担当者は、各数値の根拠や算定方法を確認し、経営層や投資家、SBTi事務局に対して説明できるようになりました。

事業部門別に排出量を可視化。TSEは、5つの事業部門ごとに排出量を比較し、どの事業活動が排出量に大きく影響しているのかを把握できるようになりました。肥料の使用から下流の加工、輸送まで、各活動が排出量に占める割合も確認できます。

SBTi目標の進捗管理を支える信頼性の高い基盤。FLAG排出量と非FLAG排出量を明確に区分し、LSR基準に沿って算定することで、2023年度のGHG排出量インベントリは、SBTi認定目標の進捗を継続的に管理するための、監査に対応できる基盤となりました。これによりTSEは、その進捗をステークホルダーに対して根拠をもって示すことができます。 

一度きりではなく、継続的に活用できる算定基盤。初年度は、従来の算定方法を再構築・改善するために専門家による支援が必要でしたが、現在ではデータ収集テンプレートや排出係数の紐付け、データ処理のワークフローが整備されています。次年度以降はゼロから算定をやり直すのではなく、この基盤を活用して継続的に算定を行うことができます。

自社のGHG排出量データを、自分たちで管理できる体制へ 

コンサルタント主導の算定から移行したい企業も、初めてFLAG排出量を算定する企業も、SBTi目標の設定を検討している企業も。Terrascopeのプラットフォームと専門家チームが、複雑なGHG排出量算定と継続的なデータ管理を支援します。
下記のフォームよりお気軽にお問い合わせください。