ブログ・取り組み事例 | Terrascope Japan公式

LSRGとSBTi FLAGをわかりやすく解説:関係性・企業が押さえるべき最新ポイント

作成者: Terrascope Team|2025/17/19

サマリー

  • 「土地セクター・炭素除去ガイダンス(LSRG)」は、GHGプロトコルがまもなく公表する、農業・林業から土地由来のコモディティを調達する企業まで、すべてのバリューチェーンにおける土地セクター排出量と炭素除去を測定・報告するための基準です。

  • LSRGは、大きな課題を埋めるために開発されました。世界の温室効果ガス(GHG)排出量の約25%を土地セクターが占めるにもかかわらず、これまで一貫した科学的根拠に基づく算定ガイダンスが存在していなかったためです。

  • LSRGが「測定・報告のルール」を定め、SBTi FLAGが「目標設定のフレームワーク」を提供します。つまり、企業がFLAG目標を設定する前提として、LSRGを採用する必要があるということです。

  • すでにFLAG目標を掲げている企業の多くは、FLAGの原則がLSRGフレームワークを念頭に設計されているため、すでに約90%は整合している状態にあります。

  • Terrascopeは現在、FLAG/LSRGに対応したデータの分離・集計、サプライヤーエンゲージメント、ファームレベルの排出量算定テンプレートなどを通じて、土地・自然セクターのお客様をご支援しています。


LSRGとは何か?

「土地セクター・炭素除去ガイダンス(LSRG)」は、企業が土地セクター活動に伴う温室効果ガス(GHG)排出量と炭素除去を、どのように測定・報告するかを標準化するために設計された、GHGプロトコルの新しい拡張ガイダンスです。
森林破壊から土壌炭素の隔離までを広く対象とし、バリューチェーンの中に土地由来の活動や炭素除去が含まれる企業であれば、重要性(マテリアリティ)に関わらず必ず適用されます。対象となるのは、農業、林業、食品システムだけではありません。綿、紙、パーム油など 土地由来のコモディティを調達するあらゆる企業 にも適用されます。

なぜ開発されたのか?

土地関連の排出量は、世界のGHG排出量のほぼ25%を占めています。
しかしこれまで、企業のインベントリでは十分に扱われておらず、標準化された明確なガイダンスがないことが、企業の行動を阻む最大の要因となっていました。LSRGは、この課題を解決するために、土地利用変化、土地管理、炭素貯蔵に関わる排出量と除去量を、科学的根拠に基づき一貫した方法で測定・管理・報告するためのグローバル基準 を提供します。その目的は、すべてのプラットフォームで報告方法を調和し、企業が土地・自然を含むサプライチェーンで、より良い意思決定ができるよう支援することにあります。

 

LSRGはSBTi FLAGとどのように関係しているのか? 

SBTi 「森林・土地・農業(FLAG)」 ガイダンスが土地セクター活動の排出削減目標をどのように設定するかを定めているのに対し、LSRGは土地セクターに関わる排出量と炭素除去をどのように測定し、報告するかを定義しています。

  • LSRG = 測定・報告の基準
  • SBTi FLAG = 目標設定のフレームワーク

つまり、LSRGはFLAGの前提条件です。企業はFLAG対応の目標を設定する前に、LSRGに沿って排出量を算定する必要があります。さらに重要なのは、FLAGが「科学的目標(SBT)」を設定する企業向けであるのに対し、LSRGは、土地セクターに関わるすべての企業に適用されるという点です。

LSRGはまだ草案段階ですが、すでにFLAG目標を持つ企業の多くは概ね整合しています。FLAGの設計思想自体がLSRGフレームワークに合わせて作られているため、(LSRGの最終詳細が確定すれば)、これらの企業はすでに「90%準備ができている状態」 にあると考えられます。

TerrascopeはLSRGへの準備をどのように支援できるのか?

Terrascopeは、貴社の事業が土地セクターとどのように関わっているか、また、サプライチェーンの追証性をどこまで確保できているかに基づき、3つのオーダーメイドソリューション を提供します。これにより、バリューチェーンのどこで排出が発生していても、LSRG準拠に向けた十分な準備が整うよう支援します。

LSRG対応を始めたばかりの企業でも、すでに土地セクター戦略を高度化している企業でも、Terrascopeは、LSRGを“コンプライアンス対応”から“競争優位性”へ変えるためのツールを提供します。

Terrascopeはこれまで、60カ国以上で3億5,000万トン以上のCO₂eを測定し、サプライチェーンの強靭性向上とデータ主導の意思決定を支援してきました。その結果、クライアントの排出量削減において、最大 25%の削減 に貢献しています。