東南アジアをリードする不動産テクノロジー企業「PropertyGuru」はTerrascopeと提携し、持続可能な都市生活のためにデータ主導のインサイトを活用しています。脱炭素化・スコープ1,2,3の排出量測定管理・削減の取組を紹介します。
はじめに
PropertyGuruグループは、東南アジアをリードする不動産テクノロジー企業であり、そして 毎月3700万人以上の不動産を探している人たちが夢のマイホームを見つけるために訪れる場所です。PropertyGuruは、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナムの不動産エコシステムのステークホルダーに、深い洞察と、彼らが不動産に関する意思決定を自信を持って行えるようにするソリューションを提供します。持続可能な都市生活の選択を提供し、環境に良い変化をもたらすため、技術力と消費者からの声を継続的に吸い上げて活用しています。
排出量について理解する
排出量を詳細なメッシュで理解し、強固な削減計画を構築するため、PropertyGuruは、Terrascopeのエンドツーエンドの炭素測定・削減プラットフォームを活用することにしました。PropertyGuruは、バリューチェーンの中で排出量を削減できる分野を特定し、脱炭素イニシアチブを実施したいと考えていました。Terrascopeは、様々なソースのデータを管理しやすいセグメントに統合した後、スコープ1、スコープ2、スコープ3の排出量を計算することで、この目標を開始する支援をしました。Terrascopeのプラットフォームにより、手動プロセスよりも5倍速くデータを取り込み、データのギャップを埋めるために関連する排出係数を照合することができました。
複数のオフィスと排出源のデータを取り込むと、Terrascopeのプラットフォームは、PropertyGuruの排出量データをスコープ1、スコープ2、スコープ3に分類し、オフィス別、出張、イベント関連の出張、従業員の通勤、製品の使用など、各オフィスでの活動タイプ別に分類し、PropertyGuruが最も影響の大きいものに基づいて排出量のホットスポットの優先順位付けを行えるようにしました。TerrascopeによるPropertyGuruの排出量の細かい分析は、3つのスコープで最大の排出量ホットスポットと、物理的な所在地毎のホットスポットの特定にも役立ちました。
排出量の削減を管理する
排出量のホットスポットをより深く理解することで、次にPropertyGuruは、ホットスポットにおいて、排出量削減がどれほど期待できるかを把握したいと考えました。その理解を深めるため、PropertyGuruは、Terrascopeの「削減モジュール」の新機能を幅広く活用しました。まず、TerrascopeプラットフォームとTerrascopeの専門家が、エネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合の増加から、エネルギー消費を削減するための建物の改修、従業員の出張や長距離フライトの最適化まで、PropertyGuruが自由に利用できる脱炭素化の手段を探る手助けをしました。
Terrascopeプラットフォームによって可能になった「What-if」シミュレーションは、PropertyGuruが脱炭素化の手段や優先順位を変更した場合の事業全体の排出量を評価するのに役立ちました。例えば、オフィスにおける再生可能エネルギーの採用について、Terrascopeプラットフォームは、PropertyGuruがエネルギーミックスの国家決定貢献(NDC)に従った場合と、規定よりも多くの再生可能エネルギーに切り替えた場合での、排出量全体への影響を可視化しました。Terrascopeは、PropertyGuruが脱炭素化のための様々な手段にまたがる複数のシナリオをシミュレートすることを可能にし、有効な排出量削減戦略を構築できるよう支援しました。
バリュードライバー
スピード
手動プロセスよりも5倍速くデータを取り込むことで、Terrascopeプラットフォームは、これまでデータの取り込みと報告に費やしていたチームの貴重な時間とリソースを節約することに成功しました。炭素排出量とサプライチェーンを詳細かつ正確に把握できるため、サステナビリティチームは改善のための主要な分野に焦点を当て、より持続可能な未来へ向けて、よりインパクトのある戦略的な意思決定を行えるようになりました。
データの細かさ
Terrascopeの機械学習機能は、多数のソースからのデータを取り込み、入手する事が出来ないデータのギャップを埋めることができます。また、Terrascopeプラットフォームは、従業員の通勤などの活動による排出量や技術使用に関する排出量を定量化し、排出量削減と管理のための現実的なソリューションを提供することができました。
将来を見据えた運用
PropertyGuruにスコープ1、2、特にスコープ3の排出量をきめ細かく包括的に理解してもらうことで、Terrascopeは同社の強固なオペレーションの構築を支援することができました。PropertyGuruは、従業員固有の排出量を新たに理解したことで、地域やオフィスだけでなく、排出量のホットスポットを特定する機会を得ました。
用語集
ネットゼロ
組織の温室効果ガス排出量と温室効果ガス除去量のバランスをとり、全体として正味排出量をゼロにすること。
排出量スコープ
- スコープ1は、組織が直接所有または管理する資産からの排出源、例えば車両群の燃料からの排出を対象とします。
- スコープ2は、組織が購入・使用するエネルギーから発生する間接排出を対象とします。
- スコープ3は、組織のバリューチェーン全体を通じて発生する間接排出(スコープ2に含まれない)を対象とします。
ベースライン
将来の排出削減量を測定する基準となる時点。ベースライン排出量は、「排出期間」(通常、組織の活動の過去1~5年間)を基準に計算されます。
脱炭素化
脱炭素化とは、気候変動を緩和するために二酸化炭素(CO2)やその他の温室効果ガスの排出量を削減または排除するプロセスです。化石燃料からよりクリーンなエネルギー源への転換や、エネルギー、運輸、産業などの分野にわたる低炭素技術の導入が含まれます。