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コラム「コンパス」

11 21, 2024

コンパス #1:企業のGHG排出量測定の現実

脱炭素化を目指す企業のみなさまへ、基礎的な情報や気づきをご紹介する「コンパス」第1回。GHG(温室効果ガス)排出量の測定における精度への不安や、排出量測定から具体的な削減アクションにつながらない現実をご紹介します。

はじめまして、私はTerrascopeに入社したばかりのマーケター アミーゴです。サステナビリティ業界は初めてなので、勉強したり、先輩との会話を通じて新しい知識や視点を得る毎日です。

ふと「この情報や気づきを、同じようにサステナビリティの世界に飛び込んだばかりの人に届けられたら」と思い、このコラムを始めることにしました。

私たちも今、「脱炭素化」という未知の領域へと進んでいます。このコラムを通じて、同じ目標を持つみなさまの一助になればという願いを込めて、この連載を「コンパス」と名付けました。

 


目次

  1. GHG(温室効果ガス)排出量の測定、その意味とは?

  2. GHG排出量の精度への不安

  3. GHG排出量測定が削減アクションにつながらない現実

  4. 次回も「コンパス」で脱炭素への航路を探る

 

 

 

GHG(温室効果ガス)排出量の測定、その意味とは?

先日、当社の潜在顧客が集まる会合で、ある方からシンプルかつ重要な質問がありました。
「GHG排出量を測定するって、測定してどうするんですか?」と。その方の企業ではすでにCO₂排出量の可視化が行われているとのことでしたが、やり方や意図に疑問を感じているようでした。

同じように、今多くの企業が国のガイドラインや、自社の方針に従ってGHG排出量を測定していますが、「なぜ測定するのか」「どのように測定するのか」「どれだけ正確に測定できているのか」といった疑問がまだまだ多いと感じます。

少し話が逸れますが、「CO₂排出量」という表現を耳にしたことがあるかもしれません。CO₂排出量とは、GHG(温室効果ガス)の中でも二酸化炭素の排出量のみを指します。日本では、GHG排出量のうち90%以上をCO₂が占めているため、注目されるGHGの一つです。しかし、CO₂だけでなく、他の温室効果ガスも含めたGHG排出量全体を測定することが重要です。

 

 

GHG排出量の精度への不安

話を伺っていると、その方の企業では、すでに自社でGHG排出量を測定し、開示しているとのことでした。スコープ1と2は自社が直接管理できる範囲ですが、スコープ3の排出量に関しては「どれだけ正確なのか?」という精度に不安があるとのことでした。

特にスコープ3はサプライチェーン全体に関わるため、すべての正確な情報を入手することは難しく、推計が必要です。この推計は、実際の排出ガスの計測ではなく「排出原単位(排出係数)」という基準に基づいて算出します。しかし、日本で一般的に公開されているデータでは、粒度が粗いことが多く、正確さに限界があるのが現状です。

こうした状況から、「推計に頼る測定方法では、データの信頼性に疑問を持つのも無理はない」と感じました。この問題は単なる測定の精度だけでなく、企業が脱炭素化に向けた具体的な行動をどこまで実現できるかにも関わっています。

関連ページ:排出量測定値のズレがもたらすインパクトが示す脱炭素データジャーニーの重要性

 

 

GHG排出量測定が削減アクションにつながらない現実

もう一つ大きな課題は、測定が行われた後の取り組みです。多くの企業がGHG排出量を「測定自体をゴール」として捉えているため、そのデータを具体的な削減アクションにつなげるまでには至っていない現状があります。測定の先にある本質的な目標、すなわち「企業が何を目指し、どのように気候変動の課題に貢献するのか」というビジョンが欠けているケースも少なくありません。そのため、測定結果が実質的な削減アクションにつながらず、形だけの取り組みで終わってしまうことが多いのです。

 

 

次回も「コンパス」で脱炭素への航路を探る

このコラム「コンパス」では、サステナビリティの現場に関わる中で感じた課題や気づきをみなさまと共有し、「なぜ排出量を測定するのか」「どう行動に結びつけるのか」といったテーマを掘り下げていきたいと思います。

次回も、脱炭素化を目指すみなさまの航路に「羅針盤」となる視点をお届けするべく、新たな気づきや取り組みを発信してまいります。引き続きご期待ください。

 

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