こんにちは、マーケターのアミーゴです。
この連載「コンパス」では、脱炭素を目指す企業の皆さんに役立つ情報をお届けします。
10月7日、SBTi(科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ)は「森林・土地・農業(FLAG)」基準の緊急改訂案を公表しました。これを受け、11月6日までステークホルダーからの意見募集(パブリック・コンサルテーション)を行っています。
目次
FLAG基準 緊急改定の目的は?
SBTiは企業ネットゼロ基準やガイダンスの継続的な見直しの一環として、FLAG基準のうち 「基準1(目標設定の期限)」と「基準4(森林破壊ゼロ)」の改訂案を公表しました。目標水準の維持と最新フレームワークとの整合性を保ちながらも、実行可能性を確保するために早急な改訂が必要であると判断したためです。
5つの改訂提案
以下5つの改訂提案について、11月6日まで意見募集を行っています。
- FLAG目標設定の期限変更(基準1)
すでに非FLAG目標を設定済みの企業に対し、「GHGプロトコル・ランドセクターおよび除去ガイダンス」発行から6か月以内ではなく、 義務付けられた5年ごとの見直し期間終了までにFLAG目標を設定するよう求める。 - 森林破壊ゼロ(No Deforestation)目標の新たな期限設定(基準4)
初めてFLAG目標を設定する企業は、FLAG目標提出から最大2年以内に森林破壊を完全に排除すること。 ただし、最終期限は2030年12月31日とする。 この改訂は、当初の2025年期限が現実的に困難となったこと、および森林破壊抑止の喫緊性を踏まえた対応である。 - 森林破壊カットオフ日(基準4)
企業は、初回のFLAG「森林破壊ゼロ」目標をSBTiへ提出する日より前の日付をカットオフ日として設定することを求める。 - 対象コモディティの更新(基準4)
一定の基準を満たす場合、EU森林破壊規制(EUDR)との整合性を確保するため、 森林破壊ゼロ目標に最低限含めるべきコモディティのリストを更新する。 - 企業が公開すべき文書の明確化(基準4)
企業が森林破壊ゼロ目標をどのように達成するかを示すために、 公開が求められる文書内容をより明確化する。
公式発表リンク
SBTi Opens Consultation on Urgent Updates to Forest, Land, and Agriculture (FLAG) Criteria
SBTi・FLAG関連の参考記事
企業へのインパクトと今後の注目点
今回の改訂案は、FLAG目標の期限見直し、森林破壊ゼロの新期限、カットオフ日・対象コモディティ・公開文書の明確化など、企業の計画・購買・トレーサビリティ・開示に影響し得ます。最終決定までは該当性とギャップ把握を進めつつ、適用時期や検証要件、EUDR整合の最終仕様に注目しておきましょう。
今回の緊急改訂案についての疑問点やご意見があれば、下記のフォームよりTerrascope Japanまでお寄せください。いただいた内容は、可能な範囲で当社の見解に反映し、SBTiのパブリック・コンサルテーションに提出の検討を行います。