目次
- SSBJとは?
- ISSBとSSBJの違い
- SSBJの義務化はいつから?時価総額別の適用スケジュール
- 第三者保証の義務化と保証の範囲
- TCFDとの違い
- SSBJ対応で今から準備すること
- Terrascopeの脱炭素化支援
SSBJとは?
SSBJ(サステナビリティ基準委員会)は、日本のサステナビリティ開示基準をつくる機関です。SSBJが2025年3月5日に公表した「SSBJ基準」は、国際基準であるISSB基準(IFRS S1・S2)をもとにした日本版の開示基準で、2027年3月期からプライム市場の大企業で順に義務化されます。
SSBJは2022年7月、公益財団法人財務会計基準機構(FASF)のもとに設立されました。企業会計基準委員会(ASBJ)が会計基準をつくるのと同じように、SSBJはサステナビリティ情報の開示基準を担います。
SSBJ基準を構成する3つの基準
画像引用:サステナビリティ基準委員会
SSBJ基準は、「サステナビリティ開示ユニバーサル基準」「一般開示基準」「気候関連開示基準」の3つで構成されています。
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基準 |
内容 |
対応するISSB基準 |
|---|---|---|
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サステナビリティ開示基準の適用(ユニバーサル基準) |
開示全体に共通する基本的なルール |
IFRS S1 |
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一般開示基準 |
サステナビリティ関連のリスクと機会の開示 |
IFRS S1 |
|
気候関連開示基準 |
気候関連のリスクと機会、GHG排出量(Scope 1〜3)の開示 |
IFRS S2 |
ISSBとSSBJの違い
ISSBは国際的な開示基準をつくる機関で、SSBJはそれを日本の制度に取り入れる機関です。ISSBは2021年のCOP26でIFRS財団のもとに設立され、2023年6月にIFRS S1・S2を公表しました。ISSB自体には企業に適用を義務づける権限はなく、適用するかどうかは各国の規制当局が決めます。日本では、金融庁が有価証券報告書でSSBJ基準にもとづく開示を求める形で取り入れました。
SSBJ基準は、ISSB基準と同等の内容を保ちながら、日本の制度に合わせた選択肢を設けています。たとえばGHG排出量の算定では、一定の条件のもとで温対法(地球温暖化対策推進法)にもとづく方法を用いることも認められています。
参考:
ISSB―最初のサステナビリティ開示基準を公表(IFRS)
IFRS S1号・S2号 | SSBJ公式サイト
SSBJの義務化はいつから?時価総額別の適用スケジュール
SSBJ基準の義務化は、2027年3月期(2027年3月31日以後に終了する事業年度)に、時価総額3兆円以上のプライム上場企業から始まります。対象は時価総額に応じて段階的に広がります。2026年2月20日に公布・施行された改正開示府令で、3兆円以上と1兆円以上の区分の適用時期が確定しました。
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平均時価総額 |
開示の義務化 |
第三者保証の義務化 |
決まり方 |
|---|---|---|---|
|
3兆円以上 |
2027年3月期から |
2028年3月期から |
開示は府令で確定。保証は2026年7月成立の改正金商法にもとづき、詳細は政令・府令で定める予定 |
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1兆円以上3兆円未満 |
2028年3月期から |
2029年3月期から |
同上 |
|
5,000億円以上1兆円未満 |
2029年3月期から(予定) |
2030年3月期から(予定) |
金融審議会WG報告(2026年1月)の方針。府令にはまだ入っていない |
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5,000億円未満 |
未定 |
未定 |
開示の実務や投資家のニーズを見て今後検討 |
対象企業の判定方法
対象かどうかは、前事業年度末とその前4事業年度末(合計5時点)の時価総額の平均で判定します。たとえば2027年3月期の判定には、2022年3月期〜2026年3月期の各期末の時価総額を使います。上場から5年たっていない企業は、上場後の期末の平均を使います。
適用初年度・2年目の「二段階開示」
適用初年度とその翌年度は、有価証券報告書の提出時にSSBJ基準にもとづく項目を省略し、翌年の半期報告書の提出期限までに訂正報告書で開示することが認められます。これを「二段階開示」といいます。決算後に排出量などを集計する時間を確保するための措置です。
SSBJ基準の経過措置
SSBJ基準を初めて適用する年度は、次の経過措置を使えます。使う場合は、その事実と内容を開示します。
- 前年度との比較情報を省略できる
- 気候関連の開示のみとし、それ以外のサステナビリティ関連の開示を省略できる
- 前年度まで使っていたGHG排出量の算定方法を引き続き使える
- Scope 3排出量の開示を省略できる
また、Scope 3のように取引先など第三者の情報にもとづく数値や、将来の見通しについては、前提や社内の手続きを開示するなどの条件を満たせば、虚偽記載の責任を問われにくくする「セーフハーバー」が設けられています。
参考:
サステナビリティ開示ユニバーサル基準
サステナビリティ開示テーマ別基準第 2 号 気候関連開示基準
第三者保証の義務化と保証の範囲
開示の義務化から1年遅れて、第三者保証も義務化されます。時価総額3兆円以上の企業は2028年3月期から保証を受ける必要があります。保証の制度は、2026年7月15日に成立した改正金融商品取引法で定められました。
- 保証の範囲:最初の2年間は、Scope 1・2排出量、ガバナンス、リスク管理に限定されます。3年目以降の範囲は、国際的な動向を踏まえて今後検討されます。
- 保証の水準:限定的保証です。
- 保証の担い手:金融庁への登録制です。要件を満たせば、監査法人以外も登録できます。
TCFDとの違い

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)は、2015年にG20の要請を受け設立され、気候変動がもたらす財務リスクに関する情報開示の提言を2017年に発表しました。企業に対し「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの柱に基づいた情報開示を推奨するもので、多くの企業が賛同し活用してきました。
TCFDは2023年10月に解散し、企業の開示状況をモニタリングする役割はISSBに引き継がれました。ISSB基準とSSBJ基準は、TCFDの4つの柱(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)を引き継いでいます。
SSBJの基準は、TCFDの4つの柱を踏襲しつつも、より詳細かつ厳格な情報開示を求める点で以下のような違いがあります。
- Scope 3 排出量の開示義務化:TCFDでは「該当する場合」に限られていたScope 3の排出量開示が、SSBJ基準では義務付けられています。
- 財務諸表との統合開示:従来の統合報告書やサステナビリティ報告書の一部としてではなく、財務諸表と統合された形での開示が求められます。
- 開示作業の負担増加:財務報告レベルの精度や会計監査との整合性が必要となり、企業の開示作業の負担が大きくなると予想されます。
- 第三者保証の導入:開示の義務化の翌年度から義務化されます。
これらの点から、SSBJ基準はTCFDよりも厳格な開示と信頼性確保の措置が追加されていると言えるでしょう。
また、TCFDは東京証券取引所プライム市場の上場企業に対し、実質的に義務化されていたものの、自主的な情報開示の枠組みにとどまっていました。一方で、SSBJ基準は金融商品取引法に基づく法的枠組みに組み込まれることが想定されており、上場企業を中心に段階的に義務化されます。
参考:
TCFD - Task Force on Climate-related Financial Disclosures
TCFDコンソーシアム
関連記事:
【図解】CDP・SBT・ISSB・ISO・GHGプロトコルなど国際基準の違いと使い分けを解説
SSBJ対応で今から準備すること
- 自社の適用時期を確認する:過去5期の平均時価総額を計算し、どの区分に入るかを把握します。
- Scope 1・2を保証に耐える精度で整える:活動量データの出所、排出係数、計算の手順を記録します。
- Scope 3の算定を始める:初年度は省略できますが、サプライヤーからのデータ収集には時間がかかります。
- 決算と同じ時期に集計できる体制をつくる:二段階開示が使えるのは最初の2年間だけです。
Terrascopeの脱炭素化支援
Terrascope(テラスコープ)は、二酸化炭素などの排出量の計測や削減施策のプロセスをサポートするソフトウェア機能と、サステナビリティ専門家やカーボンデータ分析家のコンサルティングを提供し、国内外の企業の脱炭素化を支援しています。
SSBJへの対応・ご相談や、ソフトウェア機能の無料デモをお受けしていますので、下記フォームからお問合せください。
Terrascope Japanの担当者が、ソフトウェアのご紹介、サポート・コンサルについてのご説明や、まずはお気軽な相談などにもご対応させて頂きます。
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