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食品飲料

食品・飲料業界のGHG排出量算定と削減|5社の取り組み事例

JT、三菱食品、Princes、Vitasoy、Pokkaの5社の事例を紹介。食品・飲料企業がサプライチェーンのGHG排出量を効率的に算定し、主要排出源の特定から具体的な削減施策につなげた取り組みを解説します。

本記事のポイント

  • 既存データを活用し、数週間で製品全体のカーボンフットプリント(CFP)を算定: Pokkaは4,980製品のCFPを算定。うち700製品について実測データと比較した結果、推計値の精度は約92%でした。
  • 排出量の多くは、一部の原材料や事業活動に集中: Princesでは、わずか5つの事業活動がGHG排出量全体の60%以上を占めていることが分かりました。
  • 調達地域に応じた排出係数の活用が重要: 世界平均の排出係数では、現地調達した原材料の排出量を過大評価する可能性があります。Vitasoyがオーストラリアで調達する大豆の排出量は、世界平均と比べて最大90%低いことが明らかになりました。
  • CFPデータは営業活動や顧客との関係強化にも貢献: Vitasoyはカフェチェーンとの商談にCFPデータを活用。Princesでは、SBTiに認定された削減目標が小売企業との関係強化につながっています。

小売企業からは製品ごとのカーボンフットプリント(CFP)の提示を求められ、2027年1月にはGHGプロトコルの「土地セクターおよび炭素除去(LSR)基準」が発効します。日本でも、2027年3月期からSSBJ基準の適用が始まり、Scope 3を含むGHG排出量の開示対応が段階的に求められます。

一方、サプライヤーからのデータ収集には時間がかかり、必要なデータが十分に得られないケースも少なくありません。

こうした課題に直面した食品・飲料企業5社は、まず社内にあるデータを活用してGHG排出量の算定を進めました。そのうえで、排出量の大部分を占める要因を特定し、具体的な削減施策につなげています。

5社の取り組みを比較

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自社の課題に近い事例はどれでしょうか?

  • 食肉など、GHG排出量の多い原材料を使用している:Princes
  • 世界平均の排出係数では、現地調達による排出量削減効果を適切に評価できない:Vitasoy
  • 製品数が多く、サプライヤーから十分なデータを収集できていない:Pokka・三菱食品
  • SBTi FLAG目標の設定・対応が必要になっている:Princes・JT

Princes:8週間以内にScope 1・2・3の排出量を算定し、脱炭素計画を策定

主な成果: 8週間以内にScope 1・2・3のGHG排出量算定と初期の脱炭素計画の策定を完了。その後、SBTiによるFLAG目標の認定も取得しました。

ビジネスへの効果: 2024年11月のSBTi目標提出期限に間に合い、コミットメントの失効を回避しました。SBTiに認定された削減目標は、サプライヤーのサステナビリティへの取り組みを重視する小売企業との関係強化にも貢献しています。

また、製品別の排出量データは、製品開発や原材料の調達先の検討にも活用されています。現在は、主要原材料について、カナダなど排出量の少ない地域からの調達も検討しています。

Princes Groupは、魚介類、食肉、ソース、果汁飲料などの缶詰・包装食品を製造する食品メーカーです。英国、欧州、モーリシャスに計15の拠点を展開しています。

  • 導入前の課題: 英国のスーパーマーケットから製品別のGHG排出量データの提供を求められていたほか、SBTiに基づく削減目標の設定にも対応する必要がありました。
  • Terrascopeの支援: グループ全体の事業データを集約し、企業全体のGHG排出量(CCF)を算定。さらに、各製品をレシピ・原材料・製造工程に分解することで、製品別カーボンフットプリント(CFP)を推計しました。推計値は、サプライヤーから実際のレシピデータを入手した段階で置き換えることができます。
  • 分析で明らかになったこと: わずか5つの事業活動がGHG排出量全体の60%以上を占め、上位30の活動で99%を占めていることが分かりました。また、2種類の食肉原材料だけで総排出量の23%を占め、そのうち1種類の排出原単位は、原材料全体の平均の17倍に達していました。
  • SBTiによる目標認定: 2025年2月、Princesの削減目標がSBTiの認定を取得しました。これには、2022年を基準年として、2050年までにScope 3のFLAG排出量を72%削減する目標も含まれています。Terrascopeは、目標提出に必要なFLAG関連の排出係数約670件を、わずか2日間で分類しました。

「GHG排出量の算定から削減目標の提出まで、Terrascopeの支援により、わずか数カ月でSBTiによるFLAG目標の認定を取得することができました。」
David McDiarmid  コーポレート・リレーションズ・ディレクター

PrincesのGHG排出量算定事例を見る

Vitasoy:地元産原材料の調達によるGHG排出量削減効果を可視化

主な成果: オーストラリア産大豆の排出係数は、世界平均と比較して最大90%低いことが明らかになりました。また、「Barista's Choice」シリーズの大豆・オーツ麦・アーモンドミルクは、いずれも業界平均と同等か、それを下回る排出量を達成しました。

ビジネスへの効果: 地元産原材料の調達が環境負荷の低減につながることを、製品別のCFPデータで示せるようになりました。現在、このデータは、自社のScope 3削減目標に向けてサプライヤーの排出量情報を必要とするカフェチェーンや外食企業との商談にも活用されています。

さらに、分析結果から、次の削減施策としてアーモンドペーストの現地調達が有効であることも明らかになりました。

Vitasoy Australiaは、オーストラリア産の農作物を原料に、大豆・オーツ麦・アーモンドミルクを製造する飲料メーカーです。ビクトリア州ウォドンガに製造拠点を構えています。

  • 導入前の課題: 地元産原材料の調達がGHG排出量の削減につながることを、具体的な数値で示す必要がありました。一般的な大豆の排出係数は、森林伐採が大豆由来の排出量の約80%を占める地域のデータに大きく依存しています。一方、Vitasoyが使用する大豆は、ニューサウスウェールズ州の既存農地で栽培されており、こうした世界平均の排出係数では実態を適切に反映できませんでした。
  • Terrascopeの支援: オーストラリアの栽培方法や灌漑の状況、土地利用変化が発生していないことを反映した、大豆専用の排出係数を構築しました。そのうえで、3つの製品シリーズについて、原材料の生産から工場出荷までのGHG排出量を算定しました。
  • 分析で明らかになったこと: 製品別のCFPは、Terrascopeが算定した業界ベンチマークと比較して、大豆ミルクで17%、オーツ麦ミルクで9%、アーモンドミルクで2%低い結果となりました。また、テトラパックの植物由来素材を使用した「Helicap」包装により、オーツ麦ミルクとアーモンドミルクの包装由来の排出量を約17%削減できることも分かりました。
  • 算定方法の信頼性: 算定方法は、ISO 14067およびISO 14044の原則に準拠しています。なお、比較に使用した業界ベンチマークは、Terrascopeが公開情報をもとに推計した参考値です。

「オーストラリアの農家を支援し、国内で製造することが環境にとっても良いと、私たちは以前から考えていました。必要だったのは、それを裏付けるデータでした。」
Nick Bartram  Vitasoy Australia 営業・商品カテゴリー・マーケティング担当ゼネラルマネージャー

製品別CFPの算定、どこから始めればよいかお悩みですか?

原材料の調達先やサプライヤーデータの不足など、製品別CFPの算定にはさまざまな課題があります。Terrascopeは、既存データを活用した算定から、主要排出源の特定、削減施策の検討まで支援します。まずはお気軽にご相談ください。

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Pokka:サプライヤーデータがなくても4,980製品のCFPを算定

主な成果: 4,980製品すべてについて、原材料の調達から工場出荷までのカーボンフットプリント(CFP)を算定。うち700製品を実際のデータと照合した結果、推計値の精度は約92%でした。

ビジネスへの効果: 従来の手作業による算定と比較して、算定スピードが5倍に向上。サステナビリティチームは、データの集計作業にかけていた時間を、排出量の分析や脱炭素計画の検討に充てられるようになりました。

また、他社から仕入れる完成品も含め、すべての製品の排出量を把握できるようになったことで、調達部門ではサプライヤー間の比較や、調達先の見直しによる削減効果の評価にもデータを活用できるようになりました。

Pokkaはシンガポールを拠点とする飲料メーカーで、世界60カ国で製品を販売しています。

  • 導入前の課題: 自社で製造する飲料に加え、他のメーカーに供給する原材料や、外部企業が製造した完成品など、幅広い製品を取り扱っていました。しかし、サプライヤーから製品別のGHG排出量データを入手することが難しく、製品全体のCFP算定が課題となっていました。
  • Terrascopeの支援: 各製品の原材料の配合、製造工程、包装材をもとにCFPを推計。さらに、機械学習を活用してデータの誤りを検出し、サプライヤーデータが不足している部分を補完しました。これにより、従来のスプレッドシートを使った手作業と比較して、5倍のスピードで算定できるようになりました。
  • 分析で明らかになったこと: 一部の農産原材料では、農地の利用状況や管理方法がGHG排出量に大きく影響し、主要な排出源となっていることが分かりました。また、外部から仕入れる完成品では、缶飲料のシュリンク包装など、包装材が最大の排出源となっていることが明らかになりました。

Pokkaの導入事例を見る

JT・三菱食品の事例に見る、Scope 3算定の効率化

日本たばこ産業 (JT)

主な成果: 基準年を含む2年分のFLAG排出量を、わずか1カ月で算定しました。

ビジネスへの効果: JTは、既存のデータを活用し、求めていたスピードと品質でSBTiの短期目標(FLAGを含む)を更新するとともに、長期ネットゼロ目標の認定を取得しました。

算定結果は第三者検証にも対応できるよう、データの出典や算定根拠を追跡できる形で管理されています。また、分析を通じて、原材料と包装材が優先的に取り組むべき排出削減領域であることも明らかになりました。

  • 導入前の課題: JTは、SBTi目標の更新に向けて、海外子会社を含む約20社で構成される加工食品事業のFLAG排出量を算定する必要がありました。しかし、各社でデータ形式や算定範囲、前提条件が異なり、グループ全体で一貫した算定を行うことが課題となっていました。
  • Terrascopeの支援: JTが保有する既存データにSBTi FLAGガイダンスを適用し、各社間で生じていた排出量の二重計上や、排出係数の不整合を修正しました。
  • 分析で明らかになったこと: 加工食品事業の購入した製品・サービスに由来するGHG排出量のうち、FLAG排出量が60%以上を占めていることが分かりました。
  • 算定結果の信頼性: 算定したFLAG排出量は、JTが公表している実績値と整合しています。Terrascopeは、使用した排出係数の出典や選定根拠、換算式、算定上の前提条件を記録し、第三者検証への対応も支援しました。

「GHG排出量の算定が迅速かつ効率的に進み、SBTネットゼロおよびFLAG目標の申請を期待通りのスピードと品質で完了できたことに大変満足しています。」
村上 岳史  日本たばこ産業株式会社 サステナビリティマネジメント部 次長

JTの導入事例を見る

三菱食品

主な成果: 24万製品以上を対象にScope 3排出量を算定し、その結果を対外的に開示しました。

ビジネスへの効果: 三菱食品は、食品サプライチェーンにおける将来的なカーボンプライシングへの対応を見据え、2023年度末までのScope 3排出量の開示を目指していました。現在はScope 3排出量の情報開示を実施しています。

24万製品をカテゴリー別に分類したことで、サプライヤーからの詳細データ収集を優先すべき2つの製品カテゴリーを特定できました。また、Terrascopeの活用により、今後の算定業務に必要な工数の削減も期待できます。

  • 導入前の課題: 算定に必要な製品データが社内の複数部門に分散しているうえ、数千社に及ぶサプライヤー、メーカー、小売企業との取引に関連しており、膨大なデータを収集・整理する必要がありました。
  • Terrascopeの支援: AIを活用し、24万製品以上を原材料、加工方法、包装、保管方法などの特性に基づいて約2,000カテゴリーに分類しました。これにより、大規模な製品群のScope 3排出量を効率的に算定できるようにしました。
  • 分析で明らかになったこと: Scope 3がGHG排出量全体の約99%を占め、そのうち「購入した製品・サービス(カテゴリー1)」が80%以上を占めていることが分かりました。製品カテゴリー別では、冷凍食品と酒類が主要な排出源となっていました。

「Scope 3排出量を可視化するために処理する必要があったデータ量は相当なものでしたが、Terrascopeの専門知識とプラットフォーム機能のおかげで、GHG排出量をより詳細に迅速に測定することができました。」
京谷 裕  三菱食品株式会社  代表取締役社長

三菱食品の導入事例を見る

GHG排出量の算定を、数週間で

Terrascopeは、GHG排出量の算定プラットフォームと専門チームによる支援を組み合わせ、データ収集から削減目標の設定、第三者検証への対応まで、企業の脱炭素化を幅広くサポートします。

食品加工業のLSR基準対応、何から始めるべき?

食品加工業では、原材料の調達に伴う土地由来排出量の把握や、FLAG排出量の算定・管理が重要になっています。無料ガイドでは、LSR基準の概要から、土地由来排出量の可視化・分解に向けた実務上のポイントまで解説しています。

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FAQs

食品企業のGHG排出量のうち、Scope 3はどのくらいの割合を占めますか?

食品企業では、GHG排出量の大部分をScope 3が占める傾向があります。例えば三菱食品では、GHG排出量全体の約99%がScope 3に該当しています。

サプライヤーからデータを入手できなくても、製品別のCFPを算定できますか?

はい、可能です。Terrascopeは、原材料の配合情報や製造工程、包装材などのデータを活用し、Pokkaの4,980製品のCFPを推計しました。実際のデータと照合した結果、推計値の精度は約92%でした。推計値は、後からサプライヤーの実データを入手した際に置き換えることもできます。

食品企業がScope 1・2・3のGHG排出量を算定するには、どのくらいの期間がかかりますか?

算定対象やデータの整備状況によって異なりますが、数週間から数カ月で算定を完了した事例があります。Princesは8週間以内にScope 1・2・3のGHG排出量を算定し、初期の脱炭素計画を策定しました。また、JTは2年分のFLAG排出量をわずか1カ月で算定しています。

推計値を使用したGHG排出量でも、第三者検証を受けられますか?

推計値を使用する場合は、算定方法や根拠を明確に記録しておくことが重要です。JTの事例では、Terrascopeが排出係数の出典や選定理由、換算式、算定上の前提条件を記録し、算定結果に対する第三者検証への対応を支援しました。

SBTi FLAGとは何ですか?

SBTi FLAG(Forest, Land and Agriculture:森林・土地・農業)は、SBTi(科学的根拠に基づく目標設定イニシアチブ)が定める、土地利用に関連するGHG排出量の削減目標を設定するための枠組みです。主に農業や食品など、土地利用との関わりが深い企業を対象としており、土地利用変化や農業活動に伴う排出量に加え、土地由来の炭素除去も対象としています。

詳しく見る→

食品企業のGHG排出量算定で、排出係数が重要なのはなぜですか?

原材料の調達地域や生産方法が世界平均と異なる場合、一般的な排出係数では実際のGHG排出量を正確に算定できない可能性があるためです。

例えばVitasoyでは、オーストラリア産大豆の栽培に近年の森林伐採が伴っていないことから、その排出係数は世界平均と比べて最大90%低いことが分かりました。

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